ピンポイントのメインクリエーター。新作「装煌聖姫イースフィア~淫虐の洗脳改造~」では企画、監督、脚本を勤める。ピンポイントの代表作「陰湿オタクにイカれる彼女(妹)」「ケダモノたちの住む家で」「神装聖姫エレメンティア」の企画・監督・シナリオも担当。ゲーム製作第一主義。また、ピンポイントで製作されるゲーム全てはOZのチェックを通って生み出されている。
インタビュアー:「イースフィア」デバッグ参加済。女性。
――OZさん、ゲームマスターアップおつかれさまです! どんな気分かな?
ありがとうございます!
そうですね、完成した時点でホッと一息つくんですが、今度はこの丹精込めて作ったゲームがみんなに喜んでもらえるだろうか、楽しんでもらえるだろうか、とドキドキします。だから緊張してますね。
――確かにみんなに喜んでもらいたいですもんね…! じゃあ実は一番緊張するのってマスターアップ直前より、マスターアップ後から発売日までの間だったりするのかな?
あ、そうですそうです。作ってる間はもう必死で、どうすればもっとよくなるかと考えながら夢中になってやってるからいいんですけど、マスターアップして落ち着くと、今度はユーザーさんの反応が気になってきて、マスターしてから発売まではずっとドキドキしてます。
――必死になるのわかる! できるまでは自分がやらなきゃみんな困る~とか勝手に思いながらやったり、あと同時にこんな大変なもの二度と作るもんかとか思ったりしてるんだけどね……(笑) で、終わったあとは冷静に次の企画考えたりとか…しない?
あ、ありますね! 作ってる間は、ここまでは何とか自分がやらなくちゃとか。最後の方は、身体が辛くて眠くて、大変過ぎる……もうこんなことやれない! やるもんか! と思ったりしてますが、マスターアップした後には、次はどんなの作ろうかな……とか考えてますね。
次の企画なんだけど、こんなヤツを出したい、とか「こんなエロシーン思いついたんだけどさ」とか周りのスタッフに話したり。皆ぐったりしてるから、ジトっとした目でこっちを見てきますが(笑)
――じゃあ結構企画って同時に何個も進めてたりするの? 2ラインとか、それともゲームマスターアップしてから発売まで告知打っている間に進めたりとか…?
場合によるんですが、結構同時に進めてますね。自分が3つくらいの企画を並行で動かしながら進めてる感じです。もう1人ディレクターがいてゲームを作ってるので、複数ラインと言えば複数ライン、という感じですね。
――3つ同時にディレクション…!?頭混乱しそう~! そんなにハードだと徹夜する日もあったりする?
普段はそんなことないんですよ。ピンポイントはホワイトサークルですから(笑)でも、やっぱり締め切り前は徹夜する日が出てきますね。これ、節目が二つあるんですよ。
――節目というのは?
一個目の節目が、台本の発送日です。台本を送った後だともうシナリオ、特に台詞の部分はもう直せないので、ギリギリのギリギリまでテキストを修正するんですね。そのせいで、台本を送る数日前はほとんど徹夜で修正したり、追加したりしてます。
まぁ、スタジオで修正したりすることもあるんですが(笑)
――あぁ、確かに台本間違ってたらセリフ後で直すの難しそうだよね…収録ってどこでやるの?
ピンポイントのゲームは全てスタジオ収録なんですが、今は新宿のスタジオですね。結構便利なところです。
――新宿か~おしゃれと汚さがごちゃまぜなイメージ!
混沌とした街ですね(笑)
――この街は腐っている…って藤原さん(※1)がよくいってる(笑)
(※1)藤原さん……ピンポイントのリーダー藤原隆之。
そういう街ですね(笑)
――もう一個の節目はなんでしょう?
二つ目の節目がマスターですね。マスターアップしたらもうホントに終わりなので、少しでも満足出来るように、やり切ったぞと、ユーザーさんにも自分にもしっかり言えるような状態にしないといけない。なのでこれはもう粘ります。ギリギリまで演出のタイミング調整したり、ここは差分を増やした方がいいと思えばギリギリでも増やしたり。
自分は結構ネガティブというか、やり残したことがあると引っ張ってしまうタイプの人間なので、手を抜くと、終わってから「うわぁーあそこああしておけば良かった!」とか思うのが目に見えてるんですね。なので、全力でそういう未来を回避するべく、全力投球してます。
――うんうん、マスターアップ前は徹夜するイメージあるね。普段は会社で作業して会社で徹夜するの?
シナリオの修正なんかだと家でやることもありますが、基本は会社ですね。皆が帰ると電気を全部消して、モニターの灯りだけが付いてる開発室で、好きな音楽や好きなラジオを流して夜な夜な作業してます。
会社に一人でいるっていう状況が、なんか好きなんです(笑)
――私もネガティブなのでよくわかります!いや、OZさんのほうが繊細かも…私はよくぬかってミスっちゃうけど、終わったあとで見つけたときは見なかったことにしようって思っちゃう(笑)
いやぁ、自分も誤字とかマスター後に気付くことがあったりするんですが「全力でやり切った!」って言えるくらいまでやった後だと、うん、まぁ仕方ないと思えるから、それが言えるくらいまでは頑張ろうと思います。
実際、徹夜とかする必要ないんですよ。そこまでして直さなくても、スケジュールは普通に進行してるし、完成させるための素材はもう十分揃ってるから、完成させるだけだったら問題無く出来るんですね。でも、時間があるのなら、その時間の限りよくしたいと思ってやってる。だから、自分のワガママで徹夜したり残業したりしてる訳です。やりたいからやってるだけですね。
――シナリオは相当集中しないとできなさそうだもんね、そういえば前に会社で夜中に楽器弾いてたってOZさんから聞いた気がする!想像するとちょっとせつない…なんの楽器だっけ…ギター?ウクレレ?オカリナ…?
ああ、やってましたね……何回か小っちゃいギター持ち込んで夜中に弾いてたこともありますが……ほぼ毎日やってたのはハーモニカです(笑)
――あっそういえばハーモニカだった!
吹ける曲が少ないんで、何回も何回も同じ曲吹くんですよ。童謡の「しゃぼん玉」とラピュタの「ハトと少年」を繰り返し吹き続けるという(笑)
――夜中にしゃぼん玉ってチョイスもせつないねぇ! ハトと少年も……そういえばOZさんってジブリ好きだよね?どの作品が一番好きなの?
これはもう『耳をすませば』ですね! 自分の中ではぶっちぎりでこれが一番好きです。中学生の時には、「耳をすませば」を最高一日3回見たことがあります。
――おおお! 意外な答え!! 女の子みんな好きだよね~この前テレビでやっていたときも女の子きゃあきゃあいってた。私も甘酸っぱい気持ちになって好きです。
あれはいいですね、甘酸っぱくて。初めて見たのが中学三年生の時で、自分とシンクロしてたのも大きかった気がします。後ヒロインが可愛かった(笑)
――中学3年のときに見たらそれは心に刺さるね……あ、確かにヒロインの娘、OZさんの好きなショートカットだもんね!
そうなんですよね、ものスゴイ好みのタイプなんですよ、あの子が。あの映画を見る前からショートカットが好きだったのか、あの映画を見てからショートカットを好きになったのか……もう今は思い出せないですけどね(笑)
でも、ショートカットの子は今でも大好きですね。隙あらば出したいと思ってます。
――それは気になる…! OZさんの好みの女の子の原点かもしれないね。
――他にこんな女の子が好き!とかいうタイプはありますか?
そうですね、これは自分がゲームやアニメ見てる時もそうですし、ゲームを作る時もそうなんですが……何と言うか、地に足のついた性格の子がいいなぁ、といつも思います。
――地に足のついた性格…というと今回のイースフィアでいうとアクアよりフレアみたいなタイプ?
そうですね、現実的というか金銭感覚がしっかりしてそう、という意味でフレアみたいなタイプは好きですね。
でもアレ、何と言うか、これを言うと男のエゴみたいな感じなんですが、フレアもアクアも、もし結婚してたとして、自分が職を失ったとしても直ぐに離婚よ、とかは言い出さなさそうというか。一緒に苦労してくれそうな感じがするので、そういう意味では二人とも好きです。浮ついてない感じが。
――なるほど~たしかにしっかりタイプならすぐ別れるとかはなさそうだね! あとフレアもアクアもお互いすごい信頼しあっているから情も厚そうな気がする…!その分堕ちた時の反動がすごいけど(笑)
振り幅は大きいほど良いですからね(笑)
――振り幅…! OZさんの書くヒロインって堕ちた後は反動でお金遣いが荒そうに見える…!
ああ、それはあるかもしれませんねっ……理性的だった反動で享楽的になるという……。
――反動で享楽的に…こわいわぁ…! すごいテカテカのボディコンとか着るよね!
これはもう完全に好みですね! エロボディコン、大好きです!
――OZさんの性癖が毎回ゲームにいっぱい詰まっていますね……!
そうなんですよね。ディレクターになった以上は、やっぱり自分がユーザーだったとして見たい物、欲しい物を作るしかない! と思って、好みを全力で詰め込んでます。
またねぇ、左藤さんのボディコンは良いんですよ! とても! あれは良い物です。
――じゃあピンポイントのゲームいっぱいやればOZさんの性癖が全部わかるね!(笑)
もうほぼ全部出てますね(笑) 性癖。
――性癖が全部出ているって意識すると恥ずかしいと思うこととかない?
作ってる間とか、完成してすぐはあんまり気にならないんですよね。でも、発売して一ヶ月後とかに、誰かが仕事でゲームをプレイし直したり、シナリオを読み返したりしてる時はすごい恥ずかしいですね。
普通に「ここのアナルなんだけど、もうちょっと茶色く塗って、シワの部分もうちょっと光らせて。その方がエロいと思う」とか言いながら作ってますけど、冷静に考えるとすごいこと言ってるなぁ、と思いますね(笑)
――おおお具体的!できるディレクターって感じがする!やっぱり抽象的にいっても他の人に伝わらない?
恐縮です(笑) そうですね「ここもうちょっとエロい感じで……」という風に指示だしても「あなたの考えるエロって何ですか?」みたいになるので、もうそこは「俺はこれがエロいと思う!」と提示してやってもらう、というのが一番伝わりやすいと思いますね。 もうスタッフに対しても、ユーザーさんに対しても、パンツを脱いで当たるしかないかな、と(笑)
――羞恥プレイ!こんなハードな心意気でゲーム作っているなんて、みんな気付いてるのかな…いや、伝わっているはず!
伝わってるとありがたいですね。でも、やっぱり自分はそういうゲームがプレイしたいし、作りたいんですね。そこまでしないと、本気で作ったことにはならない気がして。もう性癖発表しまくりですね。
――性癖を吐露しすぎてスタッフさんに引かれたこととかある?
あー、それは結構ある気がしますね……何か最近は皆も耐性がついて来てちょっとやそっとじゃ驚かれなくなったけど、やっぱり自分がディレクターやり始めた頃は引かれてたこともある気がします(笑)
やっぱりニッチというか、マニアックなプレイが自分が好きだっていうのもあるので。
――そうなんだ~私はOZさんと会ってから今まで引いたことはなかったけど、だんだん藤原さんを超えたエロスに向かっていったのでそこは驚いた気がする…!
あ、そうなんですか(笑) (インタビュアー)さんに引かれてるかなぁ、と心配してたのでそこは良かったです(笑)
――私は…耐性ついているのかも(笑)
かもしれないですね(笑) 性癖って浅くなることは無いみたいですね。どんどん深くなって、もっと、もっと、とマニアックになっていく気がします。
――え…深くなる一方? ……じゃあ『耳をすませば』が好きだった頃のOZさんにはもう会えないですね……(笑)
そうですね、もうあの頃の僕はいない……。
――私は「寝取られ」とかは未だに喜ぶ男の人の気持ちがよくわからないんだけど……OZさんは好きだよね?
寝取られは好きですねぇ。
――どんな気持ちになって興奮するの?
なんか、ドラマというか、寝取られにはすごい人間らしさみたいなものを感じるので好き、というのがありますね。
なんでしょうね、あの感情を言葉で表すのは難しいんですけど……こう、好きな人とか大事な人がやられてるっていう喪失感とか。
――喪失感は…それ自体が興奮できるってこと?
自分の知ってる人じゃなくなった感じ、また、自分の知らなかったその人の一面、みたいなものに興奮しますね。
――新たなその人の一面に興奮するというのはわかります。でも自分では引き出せなかった面を他の人に出されるのは悔しくないのかな?
その悔しさが、悔しければ悔しいほど興奮する、というのが寝取られ好きなんですね(笑) 業が深いというか。 喪失感もそうですね…大事なものであればあるほど、喪失感が大きくて、そこに興奮する、という感じですね。
――悔しさが興奮に…なるほど……。なにか業が深くなるようなことが前世であったのでしょうか?(笑)
いや、たぶん聖人だったと思うんですけどね。 ものっそいパンとか配ってたはず。
――(笑) 前世で聖人だったのに今世でエロゲーって、さっきの話じゃないけど反動でなったのかな(笑)
いやぁ、かもしれないですね。今、なんかすごい十字架を背負わされてる気がしますからね(笑)
寝取られもそうなんですが、自分は人の「弱さ」が見えるゲームやマンガが好きなんですね。どんなゲームを作るにしてもヒロインそれぞれの「弱さ」を出したいなというのは通してあるんですよ。寝取られはそれをすごく表現しやすいので好き、というのもありますね
でも、何か自分がエロいと思うモノを積極的に増やしていこう、という意識はあるんですよね。なので、どんどん業が深まっていくのかもしれませんね。
――うんうん、エロスの引き出しを増やしていくのは大事だよね!何気ない日常から思いついたりしたりね……。
そうなんですよね。人にああいう瞬間ってエロくない、と言われて、よく見たら確かにエロい、というのはありますからね。
(後編に続く―――――)